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初心者が陥る鎖場と岩場の誤った通過と正しい通過方法!

こんにちは、これから夏の登山を計画されている方も多いかと思いますが、今回は良く登山道の鎖場や岩場で見る初心者がやってしまう行為(通過方法)に警鐘をならしたいと思います。

もちろん最初から鎖場や岩場の通過方法が判るわけがなく、山爺も実際に鎖場や岩場を行く前にネットやyoutubeで勉強しました(笑)。

かっこよく鎖場や岩場を通過したいと思っていたのもありますが、実際に危険だなと感じたことを目の当たりにしたこともたくさんありましたので、これからそういった場所を通過する初心者のためになればと思って記事にします。

目次

鎖場と岩場って?

そもそも鎖場や岩場を知らない方のために、ご説明いたします。一般登山道において整備されていても、どうしても切れ落ちたトラバース(横切り)や、岩稜帯等の整備できない(フラットではない)箇所というものが存在します。大概は岩場に鎖がついていることが多いですね、鎖場=岩場てきな捉え方をしても良いと思います。(鎖の代わりにロープの場合もあり)

例えば、垂直の壁のように見える箇所や、急峻な下りで岩場交じりだったり、ほぼ断崖絶壁の上りや下り等さまざまです。ちなみに山爺が最初に怖かったと思った箇所は、両神山の下山時に20m位の場所で鎖が3ピッチくらいに繋がっているところでしたね。

登山経験のある方でしたら確かに危険個所ではあるが、普通に登れますし逆にどうしてここに鎖が付いてるのっていう場所もあったりします。本当に鎖がなかったら相当危険という箇所もあります、というか鎖がなかったら登れない!

登山経験の浅い初心者の方だとどうしても鎖を見た瞬間に、緊張と身体の硬直で非常に危険な上り下りをしてしまうのが現実です。鎖場と岩場の基本的な上り下りをこれから明記するので参考にしてください。(もちろん鎖場や岩場にに対しての認識や理解には個人差がありますし、あくまでも山爺が行っている事です)

鎖場での上り

まず鎖を使った上りで初心者がやってしまう行動。

①両腕を鎖を握り腕力だけで登る
②まだ先行者がいるのに続いて登ってしまう
③鎖に全体重を預けてしまう

上記が代表的な初心者がやらかしてしまう鎖場での上り方です。具体的に説明していくと次のポイントが危険だなって思う部分です。

①両腕を鎖を握り腕力だけで登る
これは、単純明快で重心や体重が鎖に掛かっているので、鎖をつかんでいる両手部分が支点となってしまい、その支点を中心にちょっとでも体重が横にずれたらくるりと壁面に対して水平方向にくるりと回転してしまいます。これが両手で鎖を使って登ると危険とされる点です。もう一点は腕力だけで登ってしまう方も見受けられます。もし、100mも続くような鎖場だったらどうなりますか?多分後半は両腕の筋肉がパンプして、もう腕の力が無くなっている状態になってますよね!ましてや、その後の登山道でまた鎖場が出てきたら・・・!

こんな状態になってしまったら、即滑落の危険性が高まります!!

≪ではどう登るのが正解なのか≫

・基本的には鎖は片方の腕でつかみ、あくまでもバランスの補助的な目的でつかみます。

どういうことかと言うと。基本鎖場も岩場も【三点支持(三点確保)】という姿勢を取ります。人間の手足併せて4つ、その内の3つで体重とバランスを取り登っていきます。(自由に動かすのは4つの内の1つで、残りの3つは必ず体重とバランス保っている状態)

鎖場の場合でもこの基本姿勢は変わりません。鎖に片手を掴んだら、残りの手は岩場やホールド(掴める箇所)ができるところに置き、片足を動かしてホールドできる箇所へ移動させていきます。こうすることで鎖を掴んでいる手は添えながら少々のバランス保持と体重が掛かっている状態になります、これが正しい鎖の使い方です。

例えば、片足を膝くらいの高さに移動させたい時は、動かしていない片方の足と、鎖を掴んでいる片手と岩を掴んでいる片手で体重とバランスを保ち、動かしている足が次のホールド場所に掛かったらホールドした足と岩を掴んでいる片手と鎖を掴んでいる片手の3点で体を引き上げます、と同時に動かしていなかった足を次のホールドに置きます。

なかなか文章にするのは難しいですが、要は鎖は片手で補助として使い、あくまでも三点支持が基本んで登っていくと言う事です。このやり方なら、突然体が横に振られたとしても鎖を中心にクルってなることもないですし、安全に登れると思います。

②まだ先行者がいるのに続いて登ってしまう
これは、ケースバイケースがあるのですが、危険な場合を明記します。一つは継ぎ目のない1本の鎖(支点が無い)だった場合に起こる事ですが、仮に先行者が鎖を離していない状態なのに、そのまま後続してしまうと万が一先行者が鎖に振られた場合に、後続者も一緒に振られてしまい、最悪は両者が滑落してしまう危険性があります。
仮に、支点がある鎖(支点があり2本以上の鎖が連結されている)の場合は、その先行者が支点を通過する前に同じ鎖を掴んで登ってしまうと、上記と同じ事が起きる可能性があります。

≪ではどう登るのが正解なのか≫

・基本は1本の鎖には登山者は1人で掴み登る

支点があり連結されているいるような鎖の場合は、自分が掴む鎖が先行者の影響を受けない状態を確認してから上ります。ただし先行者とは違った独立した鎖を掴んだとしても、先行者が滑落しないとは限りません!ですので、支点間に登山者1人いる状況は週末の渋滞が起きそうな鎖場ではよくある光景ですので、必ず先行者の状況もみつつ登りましょう!(落(ラク)のコールにも注意、石等が落ちてくる場合も)

鎖場での下り

さて今度は鎖を使った下りで初心者がやってしまう行動。

①両腕で鎖を握り腕力だけで体重を支えている
②まだ先行者がいるのに続いて下ってしまう
③鎖に全体重を預けてしまう

全く上りとは逆なのですが、同じことを初心者はしてしまいます。また特徴的なのが、足場を見ずに下りてしまう状態を良く見かけます。心理状態としては怖いので、両手は鎖を掴み下を見ずに足で着地点を探しているような行動です!

この状況は両手に体重を掛けて、片方の足でホールドを探している状況ですので、体重を支えている支点が両手になり上り以上に鎖を支点に身体が回転しやすくなります、非常に危険な下り方ですね。

≪ではどう下るのが正解なのか≫

基本は同じ【三点支持(三点確保)】です!下りの時も鎖はあくまでも補助という位置づけで握り、動かすのは手足の内一つです。上りと違って下りは心理的に怖いと思うのですが、壁面から体を起こして下を確認して次の足場を見つけて足を移動させていきます。

最初は壁面(山肌)から、身体を起こして下を確認するって勇気がいるのですが、先の三点支持(三点確保)をしっかりしていれば落ちることはありません、ましてや片手は鎖を掴んでいるのですから。

鎖場でのポイント

ここまで鎖場の初心者がやってしまう行動を書きましたが、鎖(ロープ)を使った上り下りのポイントを列挙しておきますので、今後そういう場面に遭遇したら実践してみてください。また、うまい人の登り方や下り方を良く見て参考にするのも良いですよ。

・決して鎖(ロープ)に体重は預けない
・三点支持(三点確保)で上り下りをする
・壁面から身体を離して手がかり足がかりを確認する

大きく言うと上記の3点は、実は基本中の基本ですので、登山をする上では絶対に身に付けるべき技術です!これが出来るようになると、高度感のある場所での鎖場でも少しは平常心で通過することが出来ると思います。
初心者にありがちなのは、高度感や急な斜面の傾斜により上記の基本を忘れてしまって進退窮まってしまうことです。こうなってしまうとパニックを起こしたり、今度は助ける側にも危険が及ぶので低山でもいいので鎖場のあるような場所で練習をすることをお勧めします。

岩場での上り

さあ、今度は鎖もない岩場での上りです。登山道には、低山であろうと高山だろうと、長い短い区間問わず岩場って必ず出てくると思います。今後のステップアップを考えたら正しいというか、安全に登れる技術は身に付けておいた方が良いです。

初心者がやってしまう行動。

①岩にしがみつき次の手がかり足がかりを探せていない
②大股(高低差の大きい)や目いっぱいの手伸ばしをしてしまう
③ルートファインディングをしない(どこを登ればいいか分からない)

これでは、先行者の確認はおろか自分が事故の原因、渋滞の原因になり過度のプレッシャーを感じてますます手足が動かなくなり危険極まりないです。落石や万が一の先行者の滑落といった具合に岩場では何が起こるか判りません。急いではいけませんが危険箇所は早く通過するに越したことはありません!

でも案外上記のような状況に出くわします。最近は登山ブームもあって老若男女問わず登山経験の浅い広いが混在した状態で、岩場も通過しなけれな行けないことはザラにあります!渋滞の原因や、最悪事故の元になってしまうのでしっかり岩場の基本的な上り方を習得しましょう。基本は鎖場と同じで、三点支持(三点確保)が基本になります。

≪ではどう登るのが正解なのか≫

①岩にしがみつき次の手がかり足がかりを探せていない
その岩場のある位置や、標高にもよりますが、怖さのあまりに岩にぴったりしがみついている方が案外います。これでは次にどこに手を掛けて、どこに足を掛けて進むべきか判りません。重要なのは壁面から身体を起こして、手がかりと足がかりをしっかり見つけて、4つの手足の内1つを確実に動かしていくと言う事です、もちろん残っている3点で体重やバランスが保たれているので、落ちることはありません。

②大股(高低差の大きい)や目いっぱいの手伸ばしをしてしまう
場合によってはそうせざるを得ない局面もあるかもしれませんが、基本は高低差の小さい移動を基本とします。手が伸びきった状態ではそれ以上に体重等を支えることができません。また足を大きく腰の高さ等までまげて足がかりをさせた場合、バランスをくずす原因にもなります。手がかりも足がかりも30cm~40cm位の方が力も入れやすいですし、安定して手足が動かせると思います(そうはいかない場面も実際にありますが)。

要は挙動を大きくしないと言う事です。

③ルートファインディングをしない(どこを登ればいいか分からない)
いきなり、岩場の取付で登り始めてませんか?これも原因の一つです!岩場に取りついたら、まず岩場の終点(上部)を見て、どのルートを通れば手がかり足がかりがあって、安全に登れるかシミュレーションすると良いです。やみくもに登り始めてしまうと、にっちもさっちも行かなくなったり、危険に陥ることもあります!ですので、あそこを通って、あそこに着いたら右側を登ってと一度頭の中で自分が登るルートを確認すると楽になります。また、上手そうな人がいたらその人のルートをトレースするのも良いですね♪

岩場での下り

岩での下り方には2つ方法があります、山側に対して背中を向けて下りるのか、それとも山側に対して正対(腹側)して下るのかです。これは自分が山側に対して下るのが怖いと思ったら、山に正対して下ってください。下り方の一つの目安ですが、安全な方法は山に対して正対で下る方法が確実ではあります、万が一のザックの引っ掛けや前のめりにバランスを崩すこともありませんので。
もちろん三点支持(三点確保)は基本です。

初心者がやってしまう行動。

①岩にしがみつき次の手がかり足がかりを探せていない
②大股(高低差の大きい)で下ってしまう
③ルートファインディングをしない(どこを下ればいいか分からない)

上りと同じ行動ですね。やっぱりそういう行動は危険です。

≪ではどう登るのが正解なのか≫

①②③全て基本は上りと同様です。山に対して正対して下る場合は、身体を山から起こして(離して)下方の足がかりを目で確認しながら下りることが正解です。逆に山側に対して背中を向けて下る場合は、お尻やザックの引っ掛けを注意しつつ、大股で移動はせず先に出す足の歩幅を短めにしていくほうが安定して下れます。

岩場でのポイント

鎖場と同じことが言えますが、基本はやっぱり三点支持(三点確保)だと思います。ただ下りの場合は山側に背中を向けるのか、腹側を向けるのかで、下り方が変わってきます。どうしても高度感によって胸を斜面に対してくっつけすぎてしまうので、ここが注意ポイントですね。足だけで次の足がかりを探すのではなく、必ず目で確認して手足の動作につなげましょう。

・決して鎖(ロープ)に体重は預けない
・三点支持(三点確保)で上り下りをする
・壁面から身体を離して手がかり足がかりを確認する

補助(鎖やロープ)がついたトラバース

あまりにも細い登山道(トラバース)の場合、山側に鎖やロープが設置されていることがあります。この場合の注意点はいくつかあります。細い登山道ゆえの注意点は以下の通り。

・鎖やロープに体重は預けない
・山側にザックを向けない

トラバースと言っても水平移動もあれば、上り下り、緩やかではありますが様々なタイプの登山道になります。基本的には鎖場と同じですが、鎖はあくまでもバランス取りですので体重は預けないように。また山側にザックを向けて通過(そんな人はいないと思いますが)しようとすると、ザックが山肌にあたりドン尻状態で谷川へ身体が押されてしまいますので、絶対に山側へはザックを向けないほうが安全です。

まとめ

色々と書きましたが、山爺もステップアップの際にはyoutubeで予習をして、実際に山でうまい人をみて岩場や鎖場等の登り方下り方を勉強しました。高度感への恐怖は慣れでしかないと思いますが、三点支持(三点確保)がちゃんと出来るだけでも、その岩場や鎖場を通過する時には、多少の余裕が生まれます。

何も勉強せずにいきなりの岩場や鎖場は、事故どころかそれ以上の事態になる上に、他人への迷惑もかけてしまいます。事前に初級者でも通過できるような岩場や鎖場で短い距離でもいいので、どうやって登るのか下るのか、三点支持(三点確保)を使った上り下りを体験しておくことをお勧めします。

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