山行記

初心者は剱岳に登れるのか?(剱岳登山:DAY2:2019年8月11日)

くしくも剱岳アタックが「山の日」と重なりました。前日に剱澤キャンプ場に到着するまでに、下山者と会話した際に渋滞がすごいとのことだったので早めの出発を予定して臨みます。

が、しかし剱澤キャンプ場に到着した昨日夕方より嫁のテンションがが落ち気味、俗に言う「山に呑まれている」状態。さて、剱岳アタックはできたのでしょうか?

立山DAY1はこちらからどうぞ

出発準備

事前情報により渋滞回避のため起床は「3時」!テントを出るとまだ真っ暗ですが既に登山道にはヘッ電の列が・・・!?皆さんどんだけ早いんですか(笑)。食事とトイレを済ませて、出発しますが相変わらずのノンビリ派の我が家は既に4時45分が過ぎていました、本当は4時に出発予定だんだですけどね・・・これが後で後悔することになります!

【出発準備の注意点】
・水分は最低2L(出来れば3L必要)
・トイレは必ず済ませていく
・行動食もしっかり持参する
・万が一のためビレイも用意
・日焼け対策必須

出発準備ですが、剱岳アタックの季節にもよりますが、今回は盛夏ですのでかなりの気温と暑さです、熱中症予防も含めて水分は2L持っていきましたが、下山の剣山荘手前1時間位のところで無くなりました!

トイレ状況ですが、登山者の数もさることながら「キジ打ち」や「お花摘み」をする場所はありません!下山中にカニのタテバイ通過後のトイレをするための小屋がありますが、オシッコ・ウンチは持ち帰りなので携帯トイレを持参してください。ですので登山開始後4時間前後は一切トイレはできないと思ってください!

アップダウンのあるコースかつ鎖場や岩場がありますので体力的にもハードです、水分補給と同時にシャリバテにならないよう行動食もしっかりとってください。

賛否はありますが、セルフビレイも準備してください。ビレイを付けてるだけで心理的な安心感もありますし、鎖場通過を危険と感じたらセルフビレイをとることは安全登山に繋がります。(ハーネスを準備する必要はありません、カラビナとスリングで十分です)

日焼け対策は登山全般に言えますが、日陰も無ければ渋滞で待ちの時間も多いので日焼け止めや帽子・冷感タオル等があると良いです。日焼けは体力削られますので。あと熱中症対策も大事ですよ~!

ということで出発が1時間近くも遅くなりましたが、結論から言うとナイトハイク覚悟で3時には出発しないと、各地点で渋滞に合います。カニのタテバイ・ヨコバイはもちろんですが、かなり楽な鎖場や岩場でもすぐに渋滞します。後述しますが、登山者のレベルで言うとまだ剱岳にはきて大丈夫と思うほどの初心者もいます。ナイトハイクもあまり勧められたものではありませんが、この時期の登山者の数から考えると最低3時の出発がベストかもしれません!

剱澤キャンプ場~剣山荘

剱岳登頂への登山ルートは別山尾根を通るるです。距離的はさほどありませんがアップダウンのあり・岩場・ザレ場・鎖場の緊張強いるルートになります。

では出発です。まずは剱澤キャンプ場から剣山荘を目指します。下りですが30分もかかります、ウォーミングアップに最適なので剣山荘で装備チェック等をしたら剣山荘の裏から出発です。

下山までの文明の利器は剣山荘が最後なので、トイレで全て絞り出しておいてください(笑)。

剣山荘~一服剱

最初のポイントは「一服剱」を目指します。CTは40分、難しいことはありませんが、ガレ場やザレ場と少々の岩場です。まだ暗がりの場合はスリップに注意ですね。

鎖場①②が出ますが、初心者も問題なく進めると思います。

一服剱~前剱

一服剱は巻くこともできますが、せっかくなので一服剱を登頂してから進みます。武蔵のコルが眼下にあり、目の前は前剱が見えています!ここからはポールはしまいましょう!(できれば最初からポールは使わずにいったほうが四足を使えて安全です)

一服剱で小休憩も良いですが、武蔵のコルのほうが休憩場所を確保できて安全なのでお勧め♪

この辺りからはやや急登感やしっかりと岩場なので、気は引き締めたほうが良いですね!

武蔵のコルを通過して、前剱大岩を目指します。この場所は鎖場③を通過します。初心者にとっては大岩とザレた岩場の間を通過するので、そろそろ緊張してくるころかと思います。

鎖場③を通過すると稜線上にでますので、前剱のピークを踏んで次に進みます。文章では簡単に書いてますが、既に岩場の登山道ですので、踏み外したり転倒はやばいエリアに入っていると思ってください。

この後は鎖場④が出ますが、問題はありません。前剱を後にトラバースし次に向かいます。

ちなみに「前剱」ってどう読みます。山爺は「まえつるぎ」、人によって「ぜんけん」。なんかどちらでも正解らしいです!

前剱~平蔵の頭

前剱のピークを後にトラバース道を歩くと登場するのが、鉄のブリッジと鎖場⑤です!ここからが本番ですよ~♪一気に鎖場の雰囲気も変わって剱岳へのアプローチとしては、慣れていない人や初心者にとっては「怖い」と思う箇所が始まります。

このブリッジ(実際はちょっと斜めってるけど)を怖い怖いと言いながら歩いている方もちらほら!ブリッジが終わったと同時に鎖場⑤(上の写真箇所)ですが、足場はしっかりしているので見た目ほど怖くわないのですが、初心者のガイド引率パーティーはここからセルフビレイを取りながら通過していました。

この後は鎖場⑥へと続いて前剱の門へ下り、トラバースをして平蔵の頭の取り付まで向かいます(既に渋滞が・・・)。

平蔵の頭~カニのタテバイ

平蔵の頭への登りが鎖場⑦になります、すぐ隣は下山時に使う鎖場⑫と同じ個所です。ここは鎖の他に鉄パイプのステップがあるので、難しいことはないです。

登り終わるとそのまま登頂部より下降しますが、ここは少々頭を使います(ルートファインディング)。下降している左隣は下山時に使う鎖場⑫があるので、早い時間や人がいないときは利用してもいいかもしれませんが、基本登り時の平蔵の頭の下降は鎖が途中までなのでその後は数m程あり自力で下ります。前向きでも下りれますが、怖い方は山に正対してルートをしっかり見て下降してください。

平蔵の頭をやり過ごすと、トラバースの鎖場⑧があります。

このトラバースはちょっとやらしい感じです、人によってはハングしているように感じますし、決して登山道は広くありません。セルフビレイを取るほどの場所ではありませんが、気を抜いたらダメな場所です!

そうこうしていると平蔵のコルに到着!多分雪渓が現時点でも残っていると思いますが、ここは「カニのタテバイ」の直前休憩ポイントになります!ご覧の通りの渋滞です(笑)。

暑さにやられながら雪渓の雪を使って手や各部分を冷やします!ちなみに1時間ほどは待ちましたね~!

 

カニのタテバイ~剱岳山頂

さあ登りのメインイベント、鎖場⑨カニのタテバイです!

トイレはできませんが、カニのタテバイを過ぎれば剱岳山頂まではあとちょっとなので、燃料補給(行動食)や身体を休めておいてください。と同時にカニのタテバイが怖い方登り方が分らない方は、おしゃべりもいいですが、前に登っている人のルートや鎖の使い方・ステップの置き方等をシュミレーションしてくださいね、時間はたっぷりあるので(笑)。

youtubeやブログ等で事前にシュミレーションをしている方も多いかとは思いますが、実際のカニのタテバイは思っているほど垂直ではありません!足掛かり手掛かりはもちろん、鎖とステップがあるので、カニのタテバイの終了点の1~2m手前までは難なく行けるはずです。

慣れていない方が悩むのが、終了点(踊り場)の1~2m手前の最後に上がる部分です!ここは鎖の他に鉄棒のステップもあり、一見普通に登れそうですが、足掛かりのステップ順番や手掛かりの場所を間違えると、大股でないと登りきれない状態に陥ります。背の低い女性や足の短い方(山爺もそうです)は、よく考えて登りましょう。ですが、つま先で立ち込める窪みもあるのでルーファイさえしっかりすればクリアできます。パワーのある方は鎖を両手で掴んで登っていましたが、それは最終手段と考えましょう!

ここも慣れていない方・初心者の方はビレイを使っていますが、ビレイの操作も慣れていないとそれだけで危険な動きになります。ビレイを下から引き揚げて次の鎖のピッチに架け替えをしなけばいけないので!

カニのタテバイが終わるとトラバースがあり、最後の鎖場が登場しますが、ここはさほど難しいこともないので普通に通過します。

この鎖場が終わると後は剱岳山頂までペイントマークを頼りに岩場を登ります。基本的には早月尾根との分岐の道標を目指すと思いますが、登れそうな場所からもどんどん登頂しています(笑)。

このころになると下山の方とのすれ違いも出てきます。カニのタテバイが終わって最後の鎖場を終わった地点が下山者との共通登山道ですので、色々と注意は必要ですね♪

祠のある山頂までは、岩場の広い尾根を進みます、まさにここはビクトリーロードなので噛みしめて山頂を目指しましょう(笑)。

山頂到着!

山頂はそこまで広くはありませんが、2.999mを味わってください♪祠の前での写真撮影と祠の横のちょっと突き出した岩場での写真が定番ですね^^。

山頂気分を味わったら下山準備です。トイレはもう少し先で、囲いのある「トイレもどき」までできませんが、エネルギー補充はしておいてください!

剱岳山頂~カニのヨコバイ~下山

さあ下山です!

まずは登りで通ってきた道を下り「カニのヨコバイ」の取り付を目指します。取り付までは登りと同じ登山道ですが、ここでもカニのヨコバイ取り付の数十m手前から渋滞につかまります!場所によっては登りの人の為に空けておかないとすれ違いもできない場所もあるので、下山者一行でスペースを確保しながら待機します。

何とか、カニのヨコバイの取り付に到着、鎖場⑩です!ここは下り専用になるので、じっくり下りましょう~。

まず良く言われる「最初の一歩」ですが、ちょっと怖いかもしれませんが一歩目の矢印より手前からのぞき込むとしっかりと足場が見えます。鎖なりに進み岩肌に胸をつける形で進んでしまうと、まず足場は見えないと思います。

鎖をつかんで、えいゃ~と足を投げ出すのは最終手段として、手前側からしっかり足場を確認し岩肌から体を起こして、右足を置けばその先の3歩くらい分までの足の置き場がしっかり見えます!その後は作られたんじゃないかと思うような岩の溝があるので、一歩一歩確実に歩けば通過できます!

危険を感じるとは思うので、ビレイをする人は多いかな!山爺も嫁の為に先行して最初の一歩目をアシストするためビレイをしてヨコバイに停滞していました。

足の短い方や背の低い方も、最初の一歩は届くのか不安で怖いかもしれませんね!

カニのヨコバイが終わると鎖場の連続です!そんなときに出てくるのが垂直の「梯子」です、個人的にはこの梯子のほうが怖い。斜めにかけてある梯子ならともかく、垂直なので梯子への第一歩が妙に怖く感じてしまうんです!しかもj体を反転させるときに梯子を固定してある鎖に足を引っ掛けたら落ちるよなぁ~と、ネガティブなことを考えてしまいます(笑)。スミマセン、怖くてのぞき込んでの写真が撮れませんでした。

この後に例のトイレもどきがあります、間違ってもオシッコ・ウンチは持って帰ってくださいね!ボットンでもなければ水洗でもありません、あくまでも用を足しているところを見られない為だけの建物なので!今回は誰も利用していませんでしたね。

トイレもどきを過ぎると鎖場⑪です。多分この辺はまぁまぁな高度感の下り鎖場なのですが、多分マヒひていると思うので前向きで降りても怖さわ感じないかもしれませんよ!

そして登りにも通った「平蔵の頭」へ下山ですが登り返します。ここが鎖場⑫です、特段難しいことはありませんが、登頂部分で何やら渋滞しているので、取り付でまたもや渋滞待機です、下山ルートである登り斜面の途中でも渋滞待機、どうしても登頂部分から下る側が遅くて登り側が渋滞します。

(登り時の鎖場⑦から見える下山ルートの鎖場です)

鎖場⑫の登りと下り(平蔵の頭)をやり過ごしたら、次はケルンのある広場まで向かいます、広いのでここが休憩ポイントですね♪

次は前剱の門を目指します、ここが鎖場⑬です。特に問題は無い鎖場なので通過!この後はトラバースを通り鎖場④を目指します。

この辺りから体力的にもそうですが、疲れや鎖場がなくなってくるので緊張が解けやすいです!ですが、最初から最後まで基本的には「ガレ場」「ザレ場」「岩場」の登山道です!実は剱岳の事故は下山時のこの区間からが一番多いそうです!実際に山爺の目の前で、スリップ転倒が起きました。もう剣山荘が眼下に見えている状態で、ザレ場の滑りやすい場所で思いっきり踵からスリップして背中側に転倒!テント泊仕様だったのでクッションが効いて何もありませんでしたが、一歩間違ったらと思うと・・・・!

武蔵のコルと一服剱を通過して長いザレ場を通過すれば、剣山荘が眼下に見えてきます。剣山荘に着くまでは緊張は解かないほうが無難です!疲れた身体でのザレ場通過は、どうしてもラフな歩行になりやすいので注意が必要ですね。

初心者は剱岳に登れるか?

今回の記事はここが本丸です!最近のSNS流行りもありので、明らかに初心者で「登山初めて1年です」的な登山者も見受けられました!

一般登山道ではあるものの、岩場や長く続くザレ場・ガレ場、滑落も起こりそうな登山道にかなり難易度が高い鎖場の存在、国内屈指の難ルートと言われる別山尾根ルートでの剱岳登山!

はたして登山歴の浅い登山者(初心者や初級者)が登れるのか?登っていいのか?賛否はあるのは分かりますが、結論から先に言うと条件付きなら登ってもいいかな!って言うのが山爺の結論です。

装備

条件付きなどと生意気な言い方をしたが最低限の装備や安全に対する準備は必須だと思うのだけど。。。下記のような「えっ~!」と驚く方がいました!

・登山靴ではなくスニーカー(登れることのほうがすごい!?)
・ザックも背負わず小さなサコッシュのみ(水や行動食は?)
・万が一のセルフビレイは?(安全性に難ありでしょ!)
・ノーヘルメット(滑落・落石あったらどうするの?)

「好きに登らせろよ!」と言われたらそれまでだけど、他人に少なからず迷惑がかかる可能性があるかもしれないので、最低限の装備はしてほしいものですね。これが条件の1つ目!

ザレ場・ガレ場・岩場の登山道

基本的な登山道での歩行技術がやばいでしょって人もいたなぁ~。

・ザレ場でのスリップ歩行(転倒しちゃうよ~)
・ガレ場での足運び(浮石に乗ってるよ~)
・落石を誘発させる歩行(大事故に繋がる)

まだまだあるけど、結構上記のような場面は案外見たなぁ~。落石は一番まずいですよね、他人を巻き込んで大変なことになってしまうので、最低限落石をさせない歩行技術は必須!!これが条件の2つ目!

鎖の無い岩場

鎖場はかなりフォーカスされますが、鎖のない岩場もたくさんあるんです、確実に「岩場歩いたことないですよね」って方が。。。

・お尻や膝を使った岩登り(危なっかしい)
・ルートファインディングをしない(途中で進退窮まってます)
・小さな岩(石)に足や手を掛けてる(その岩(石)落とさないですよね??)

鎖場とも共通するけど、ルートファインディングが出来ていないし、石や岩を落としそうになってるし後ろにいる登山者への配慮と危険回避がなってないですよね~。最低限、普通に岩場の通過方法を習得しておいてほしいですよね、これが条件の3つ目!

鎖場各種

上から目線で言う気はないのだけど、両手で鎖をつかんで腕の力だけで上り下りをしている人を結構見る!三点確保(三点支持)って知ってるんだろうか?はたから見ててもバランスを崩しながら鎖を目いっぱい掴んで上り下りをしている、これって下の人上の人は危険極まりない!
剱岳の場合、鎖場がかなりの部分であるので腕力が尽きたら、もう鎖場で両手を使って上ったり下ったりできなくなっちゃうのにね。

・三点確保(三点支持)ができない。
・鎖だけで上り下りをする。

岩場もそうでだけど、三点確保(三点支持)は必須の技術、これが条件の3つ目!

体力

こればっかりは、日頃のトレーニングでしか解消できないが、下山中に見た光景としてザレ場で踏ん張りが効いてなくてスリップしまくりの人を見ました。明らかに筋力と体力不足でヘロヘロ状態!これでは安全に下山できないですね~!

アップダウンの激しいハイクをこなしていることが条件の4つ目!

初心者に対して個人的に思うこと

偉そうに色々書きましたが、その人が事故に合わないことと自分が巻き込まれない為にはと思ってお節介な内容ですが、少しでも役に立ってもらえればなぁ~って思ってます。

「自己責任で登ってるから、勝手にさせてくれ」と言われてしまえばそれまでですが、同じ登山をする者としては事故になってしまうことも避けたいし、無謀な登山をして不幸なことになってしまうことも避けれればと思ってます。

剱岳は若さや体力があれば技術がなくても、なんとか行けちゃうと思います多分!でもアドバイスをもらわなくてはいけない箇所はたぶんにあります「カニのヨコバイ」とかね、なので出来れば経験者と行ってほしいかなって思います。

まとめ

何だかんだ言って書いてきましたが、登山をしている方から良く聞くセリフで「憧れの剱岳」って言葉があるけど、実際に登ってみて確かに良い山でした♪

山爺的には、良い山って言うのはちょっと違う意味です!アップダウンありの岩場・鎖場がタップリ、樹林帯無し(笑)!こんな条件の山って好きだなぁ~♪

でも危険とは隣り合わせだっていうのは分かってますし、初心者や初級者が安易に登れば危険が結構あるよって言うことは分かってほしいと思います。実はこの日も山頂直下で落石による要救助要請でヘリ救助がありました、現場は山頂の祠から下って15分位のところです!もちろん山頂からの登山道ですので、現場を見ましたが結構やばかったです。

偉そうに、条件付きなら初心者も行って良いですよ的なこと書きましたが、事故等に合わないように警鐘を鳴らしたいってことをご理解ください!

正直、「機会があったら、ぜひ行ってみてください」とは、安易に言えない登山だってことは最後に伝えたいと思います。

ではでは、最終日も近日中にUPします。

ぽちっと応援お願いいたします。

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