秋山のスタートと共に連休もあるので登山計画をしている方も多いかと思いますが、ちょっと前の山行(編笠山と権現岳の日帰りハイク)の途中で目にした初心者と思われる、登山時の服装について気になった事があったので記事にしてみました。
これまた大分経ちますがカンブリア宮殿にてファイントラックのフューチャーがありましたが、特に今回の記事ににもつながるのですが「インナー」と「ベースレイヤー」の正しいレイヤリングや、アウターも含めたレイヤリングの間違いを良く登山中に見るので、初心者の方は、なんでそうしなければならないのかという理解のお手伝いになれば幸いです。
目次
登山時の基本的な服装
どの専門書、ネットやブログの記事でも書いてあると思いますが、登山時の基本的なウエアリングはレイヤーと言われ大きくは3段階の重ね着にあります(インナーを足すと4段階になります)。
・ベース
・ミドル
・アウター
登山服装におけるベースとは
ご存知の通り「ベース」は一番肌に近いところに着るウエアです。今のこの時期だとTシャツ1枚の方も多いかもしれませんが、汗冷え対策をする上ではベースの下に「インナー」の着用をお勧めします。ですので正確にはTシャツとインナーを合わせて「ベース」とします、あくまでも山爺の場合ですよ。
インナーの特徴
インナーは地肌に直接着て、掻いた汗を瞬時に吸い上げ、その次に着ているベース(Tシャツ等)に汗を移す役割をします。この性能により肌がサラサラの状態を保ち、肌に汗が無いので休憩時等の汗冷えを防ぎます。有名どころのインナーは以下の通り。(山爺はミレーのドライナミックとファイントラックのスキンメッシュを使用してます)
ベースの特徴
ベースで着るシャツ等は、そのほとんどが吸汗速乾性能を持ち化繊で出来ています(ウールやウールと化繊の混合等もあります)。後述しますが、ベースの役割は汗を吸って早く乾くことが命です。
間違ったレイヤリングは
※Tシャツ一枚しかもコットン素材
※インナー着ているがコットン素材を重ね着
上記は案外見る光景なのですが、ここで重要なことはインナーの上に着るベースは吸汗速乾の素材のものを着てくださいと言う事です。この時期であれば薄手のTシャツが多いと思いますが、間違っても棉(コットン)素材を着てはいけません。重要なのは化繊で作られた吸汗速乾のものになります。
上記のようなレイヤリングをすると何が起こるのかと言うと
・高所での休憩時は気温が低い為あっと言う間に身体が冷やされます(寒い)
・ハイク中休憩中問わず常に濡れている(重い・不快)
一番危険なのは身体が寒くなってしまうということです!これは汗冷えからくる身体の深部まで冷えが廻ってしまって最終的には低体温症を引き起こしてしまう原因にもなります。
ベースのまとめ
インナーで吸い上げられた汗がベースに吸い込まれ拡散し、肌からの汗を次のレイヤーへと移していると言う事を理解します。ですので、コットン素材のシャツは着ない!できれば汗冷え対策としてインナーを着る!
山爺も夏場に初心者のころベースには吸汗速乾のTシャツのみを着用していて、お腹が冷えて下痢ったことがあるので夏場でも汗の対策は重要です。特に高山における気温の低下は夏でも寒くなるので、甘く見ると痛い目に合います。
初心者が陥る間違ったウェアリング
ここからは良く見る「それって着過ぎでしょ」とか「暑くないの?」とか多少の登山経験者からみると、心配になっちゃうようなウェアリングをしている初心者の間違いを指摘してみます。万が一該当している方がいたら要注意ですよ!
最初から着込み過ぎ
夏はそれほど見ませんが、春・秋・冬は良く見るウェアリングがコチラ!
・ハイク前からアウター(ハードシェル等)を着こんでいる
・ダウンを着たままハイクスタート
案外いますよね~上記のように着込んでしまっている方。厳冬期は別として、3シーズンであればその日の気温によって多少のウエアの厚さは変わりますが、ちょっと寒いかなって感じる程度からハイクスタートしたほうが良いです!
例えばその登山コースがいきなり急登だったりした場合は、冬だろうとすぐに汗をかくことになります。身体がオーバーヒートすると途端に歩行ペースや調子が出ないことは言うまでもありませんが、それを回避するためには最初から厚着をするのではなく、薄着でスタートして身体が動いている時の体温をベースにウエアリングを考える必要があります。
秋口からは朝一のスタートって確かに寒いので、どうしても着込み過ぎの傾向ってあるかもしれませんが、いらぬ汗をかきザックをおろして脱いでという動作も何かと面倒なので、スタート時点の気温と標高が上がるにつれての気温変化に対応できるウエアリングで臨むことが肝要ですね(^^)
インナーとベースレイヤーの役割を理解
これは前章での内容と被りますが、3シーズンと厳冬期ではベースで着る素材の厚みが変わってくるということを認識してください。
初夏や真夏と残暑あたりだと半袖で薄手の化繊、春や初秋だと中厚の半袖か長袖といった感じで使い分けをして、その日の気温に合わせたベースを選びましょう。厳冬期に関しては寒さの体感や個人差にもよりますが、暖かいけどハイク中に汗をかかない程度の素材の厚さにするのが良いですね。
インナーとベースの関係はシーズン・気温・個人差・発汗量によって、様々な組み合わせがあります。自分にあった組み合わせを見つける事と、山行当日の気温や標高とレイヤリングをメモしておき、後の山行や改善に充てるといいです!
ミドルレイヤー(中間着)の着るタイミング
現在ではこのミドルレイヤーに相当する種類のウエアは、素材・生地の厚い薄い・個人の自由によって様々なものが言えると思います、代表的なものだと以下のようなものです。
・フリース
・ウインドストッパー
・ライトダウン
・インサレーション
基本的には保温着としての用途が一般的ですが、ハイク中にこれを着たまま汗だくになっている方も割と見ますね~。もちろん素材には透湿性をうたっているものもあるので、間違いではないのでしょうが汗だくになってしまうのは明らかに不正解です。
やはり休憩中の保温のための着用か、冬季での本当に最初の歩き出しくらいの着用がいいのでは!(すぐに急登がある場合はNGだと思いますけどね、汗かいちゃうから)
アウタージャケットの着るタイミング
アウターは基本的には、雨・防寒が主の目的なので個人差はあるにせよ雨以外での着用は、防寒対策としての着用ですね。冬季の場合は、最初からアウターを着用することも多いですが、汗をかいてしまうようなレイヤリングはご法度!
3シーズン(春・夏・秋)でも最初からアウターを着たまま、ハイクアップしている方も見受けられますけど、第一に暑いし無駄な汗をかくし、レイヤリングを理解している人から見るとちょっと滑稽に見えるし、私は初心者ですよ~って言っているのと同じですから注意してくださいね!
特に初心者で見られるのが、アウターの中にダウンを着こんでいて急登の最中に頭から湯気がでるくらいになっちゃってる人。
個人差はあるけど、冬季でもハイクアップ時は少し寒いかなって思うくらいで十分だと思います。ハイクアップしていて汗一つかかず、それでも寒かったらミドルウエアーを着てから、アウターを着てこまめにオーバーヒートしないようにベンチレーション活用でハイクアップすることをお勧めします!
適切な体温管理
春夏秋冬でそれぞれ、レイヤリングする枚数・生地の厚さ等を駆使して求める答えは汗をかかずに体温の調整することが重要です!
必要以上の汗をかき汗冷えや不快感・疲労等への繋がり苦労した事も個人的には山ほどあります、でも最低限レイヤリングを施すことで、なんとか最悪の事態は回避してきています。適切な体温管理をすることで、体力温存や楽な登山をするためには絶対に手を抜いてはいけない重要なコントロール項目となります。
まとめ
色々書いてきましたが、基本的には無駄な汗をかかないための最低限の登山におけるハイク時のレイヤリング方法の基本です。
もちろん体温管理には他にも水分補給や休憩等ほかのファクターもありますが、登山の服装によるレイヤリングは一番最初に気を使わなければいけない基礎テクニックです。
寒さや暑さは人によって様々なので、その日の気温でしっかりと自分にあったレイヤリングをして無駄な汗をかかないようにすることが重要ですね。
最近は、各アウトドアメーカーから様々な素材の機能性ウエアが出ているので、季節に合わせて最新素材ウエアを揃えていくのも楽しいし、登山が楽になりますね、お金は掛かるけど(笑)。
山爺も最初はインナーはモンベルのジオラインを着ていたのですが、最近は冬季はミレーのドライナミック(あみあみ)ですし、夏場はファイントラックのスキンメッシュを着用しています。さすがだなと思わせる素材と作りなので、汗対策という観点からみると侮れないです!ただし、ベースレイヤー(インナーの上に着る)にも気を使わなければいけないのは言うまでもありませんが、吸汗速乾素材でないと無意味なのであしからず!
昨年(2018年)の盛夏での登山を例に出すと、北アルプスの稜線上でも30℃とか平気で気温があがってしまうので地獄の暑さ!いかに汗抜けが大事かが身に染みた年でした。まだインナーを重要視していない方がいたら、是非参考ににてみてください。
今年(2019年)のお盆(山の日)に剱岳へ行きましたが、2.900m級の高所エリアだというのに暑くて暑くて尋常ではなかったです、最近の日本の異常気象もあるのでしょうけど、夏の山は涼しいというのは過去の話!汗対策もさることながら、水分補給のマネージメントもすごい重要になりました!
夏山に関して言うと、自分の体調管理の為の知識が如何に重要なのか知っておかないと、万が一の不測の事態を引き起こしてしまうかもしれませんので、この記事を読んで少しでも知識の足しになってもらえればと思います。
ではでは。