ギア・その他

雪山登山でよく見る初心者の失敗

赤岳アタック

もうすでに雪山への想いが高ぶりつつある今日この頃です(笑)

これから雪山登山を始めようと思っている方に、少々アドバイスを!なんでかと言うと雪山登山は夏山よりハイリスクです!少々の失敗が最悪の事態につながる可能性が高くなるので、事前の学習や訓練等は怠らないほうが良いです。

こえから初心者が犯す失敗例を挙げますが、全部実際に雪山登山時に見た事例です。心して読んでくださいね!

目次

雪山登山で初心者が犯す間違い

少々、辛辣な書きかたから始まりましたが、本当に雪山登山は舐めないほうがいいです。(山舐めんなオジサン化します)

何度か危険な場面に遭遇していますので、雪山登山で直接ヤバイことにならない事もありますが、最低限知っておいてほしいことなので注意してこれから雪山登山を始めてください。

アイゼンの付け方を知らない

自分で「アイゼン」が付けられないのは問題外です、ハッキリ言っておきますが、そういう方は雪山登山に行く資格無し!!

アイゼン

まずアイゼンを購入したら、自宅でサイズ調整と登山靴への装着を出来るように何度も練習してください。良く見る間違いとしてはアイゼンの左右逆に付けている事例ですね。アイゼンストラップの留めが最後、外側にくるって覚えておけば大丈夫!(グリベルの場合ですよ)

※目撃例※
・唐松岳:「先輩これってどうやって付ければいいんですか??」だって!
・木曽駒ケ岳:アイゼンを靴にはめられず格闘→遭対協の方が見かねて教える
・北八ヶ岳:左右逆に付けている(彼氏が指摘で事なきを得る)

アイゼンはオーバーかもしれませんが「命」を守るギアなのでメンテナンスも含めて完全に装着できるように雪山に行く前に完璧にしましょう!

スノーバスケットを付けていない

これは軽い間違いなので笑える部類です♪普段3シーズン中に使っているポール(ストック)をそのまま雪山登山で使えることがほとんどですが、1点だけ換装をしなければなりません!それがポール(ストック)の先についているリング状のバスケットです。

雪山の場合は大きくて浮力の効くものに変えなければいけないんです!これをしないと雪面にポール(ストック)を刺した時に、スボスボって潜ってしまってバランス取りに使えなくなっちゃうんです。

稀にスノーバスケットに交換が出来ないポール(ストック)もありますが、通常は交換が可能で1個数百円程度なので、必ず変えておきましょう♪

厚着のし過ぎ

この厚着っていうのは個人差や体感温度の違いや発汗量の違いもあるので、一概にはイコールではないのですが、雪山においては3シーズン以上に発汗に対するマネージメントが大切です、そう「低体温症」にならないための「汗冷え防止」です、そのためには登りにそなえて少し寒いくらいのレイヤリングをするのが大切!

※目撃例※
唐松岳:ハードシェル+ダウン+フリースで登っていて八方山荘から200m進んだら、もう暑くて脱いでる方を発見

時間に制約があるような雪山登山時は無駄な行動はしたくないですし、無駄な発汗はリスクになるので注意したいところですね!

ゴーグル・サングラスを帽子等の上にかけちゃう

これも雪山登山初心者あるあるです!何がいけないのかと言うと、寒さのために帽子等をしていると思うのですが、実は帽子を通して汗による蒸気等が頭にかけたサングラス・ゴーグルのレンズにかかり、曇るのと同時にその水分が凍ります!

凍ってしまうと、そんじょそこらでは取れませんし、その後にゴーグルやサングラスをかけても視界不良で危険です!

ヘルメットを装着していて蒸気がレンズに当たらない場合は大丈夫ですが、ニット等の場合は必ずザックの中かハードシェルのポケットにしまいましょう!

ちょっとした寒暖差でもレンズは曇りますので、山小屋に入るときも注意しておかないと外に出たらレンズが曇っていて使い物にならないって事もあるので注意!

オニギリを持ってきちゃう

食料が無くなるって事態も想定できるので、笑い話では済まない場合も想定される事態ですが・・・

言っときます、オニギリは凍ります!というか水分の多い物は気温によりますがキンキンに冷え切っていて食べられたものじゃないですし、最悪は凍ってしまいます!パンですらボソボソになりますが、オニギリよりはマシです(笑)

経験上で言うと、意外にも「羊羹」が良かったです、多少固くはなりますが、凍ることもなくおいしく頂けます♪チョコ系は岩のように固くなるので、歯に注意してね(笑)スニッカーズは石ころ食べてる感じね!

スノーシューだけで登山

これも行く山によるのですが、TPOで使い分けをしないといけないギアです。

スノーシューはフッカフカの雪の上を歩くものなので、クラストやアイスバーンと雪面状況がコロコロ変わるような山の場合は、アイゼンも含めて装備しておかなければなりませんね!

前シーズンの唐松岳でアイゼンを持たずにスノーシューだけで登攀している方を見かけましたがしかも急登でアイスバーン、雪山は直登する場面が多くスノーシューではかなり厳しい箇所が多数あります。その方は結構泣きが入っていたのは言うまでもありません!

歩行スピードと休憩

雪山に限らずですが、登山道が広ければ追い抜くことも可能ですが、そういう訳にはいかない狭い登山道があります。そんな時に慣れないアイゼン歩行に加えて体力不足・筋力不足で無雪期よりも各段に歩行スピードが落ちたペースの場合は必ず後方を確認してください、渋滞の原因が自分になっちゃってるかもしれませんよ!

赤岳岩稜エリア鎖場2

風や寒さ対策でフードをすっぽりかぶると後方の音はおろか、前方の音さえも聞こえないので注意しましょう。

これも唐松岳で遭遇したのですが、格好はキメキメの女子でした。その女子は息も絶え絶えで瀕死の状態、歩くスピードはほぼ「牛歩」!さすがに山爺の前にいた方がトレースを外れ追い抜きにかかりました、待ってましたと山爺もそれに続き、後方を見ると一気にトレースを外れてその女子を追い抜くこと10数人(笑)、ってなことにもなるんですよね~!

実は雪山でトレースを外れて追い抜くって行為は結構しんどくて、場合によっては危ないからおすすめできません。トレースを外れたところがもし踏み抜き地獄だったり、ラッセルを必要とするような積雪だったりと、体力を消耗する場合もあります。(この時は広い登山道ですが割と急登な直登部分でした)

ですので、明らかに遅い歩行スピードの場合は後ろを確認しましょう♪迷惑かけるのも、掛けられるのも嫌ですからね!それからキツくて休憩をするときは安全を確認して必ずトレースから外れましょう。

アイゼン歩行技術不足

アイゼンでの歩行技術は3シーズンのそれとはまったく違います!内側へのアイゼンの爪の引っ掛けや岩場でのアイゼン歩行は慣れないと非常に大変、ましてや片方で500g近くも重量があり更には850gほどの冬靴をはいて歩行しなければいけません。

赤岳山頂直下

そのために無雪期に筋力アップのトレーニングをして雪山シーズンを迎えてるんですけどね~!

アイゼンでの歩行技術の習得は、雪山講習に行くか経験者に教わるしかありません。平地・急登・下り・トラバース等さまざまなシュチュエーションで適切な歩行技術が求められます。雪山のステップアップをしてくるとアイスバーン・岩稜帯+雪・氷ミックス等、滑落への危険度が高まる場面を通過することになり、そういった場合はその場面にあった歩行技術が必要、逆に技術がなければ行ってはいけない事になります。

※目撃例※
前シーズンの赤岳の山頂直下の下りで、普通に下れない女子2人組に遭遇。ピッケルを雪面に刺してバックステップで下りる技術も無く、たった数メートルの下りなのですが四苦八苦で危なくて、先行させていただき下り方をレクチャーしました。

結構あるあるなのですが登りは案外行けちゃったりするんですけど、下りは恐怖心や高度感で腰が引けて本当に危ないスタンスをとってしまったり、三点支持を忘れて下ろうとしている場面を結構見ます。ちなみに赤岳の場合は山頂直下の下りもそうですが、トレースのの細い下りもあったりと一部テクニカルな部分もあります、初心者の登竜門的な事を言われますが最低限の雪山技術があっての登竜門だということを間違えないほうが良いです。

まとめ

自分の見たこと経験したことで雪山って危険なところだよってわかってほしくて今回記事にしてみましたが、実際雪山においては何度も滑落と救助の現場に居合わせています。3シーズン中に滑落や救助現場には数えるくらいしか遭遇していませんが、雪山シーズンでは何度となく遭遇しています。過去記事でも書きましたが木曽駒ケ岳での滑落と救助活動・遭難者死亡が発生した日にも出くわしています。

普段はなんてことのない初心者が行く雪山なんて言われている山でも、ひとたび条件が変われば上級コースに早変わりで危険度が数段アップしてしまいます。

たぶん、今シーズンもSNSにはたくさんの雪山の動画がアップされると思いますが、安易に行けるとは思わないでしっかりリサーチして危険度と必要技術は何なのか、装備は足りているか必ず事前にチェックしてください。仮に使わないギアや装備したものがあっても、雪山においては備えあれば患いなしです!

朝は天候が良くても途端に天候が荒れる場合もあれば、朝と昼過ぎの雪質が変わるなんて事は当たり前ですので、何がどう変わっても対応できる能力と装備、それから一番大事なのは「撤退」する判断を持っておくという事です。

リフトやロープウエイを使った雪山登山の場合は、必ず時間に制限がでてきます!この地点に何時までに到着できなかったら引き返すという想定も必ず必要になります。極端な事言えば3シーズンでは少々暗くなったとしても気温の関係もありますが何とかなるかもしれませんが、雪山において天候や日没はオーバーですが「死」に直結すると思っていいくらいの心構えは持っておく必要があるんです。

結構、辛辣な事を書いていますが、実際に雪山登山時に目の前で滑落事故・救助等を目のあたりにしてしまうと、自分自身への心の改めもありますが、これから雪山へ挑戦する初心者の方には絶対に分かってほしいことなのでご理解ください。

これだけ危険な雪山ですが、3シーズンの登山とは全く違った世界が体験できます。景色・空気感・静寂・厳しさ等々言ったらきりがありませんが、魅力のある登山です♪辛辣な部分とは正反対に楽しくて素敵な世界なのですよ~!

ぜひ知識・事前準備・技術習得をして雪山を楽しみましょう(^^)

ではでは。

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