初日の厳冬期テント泊は気温マイナス15度前後でしたが、さすがのスノーフライ(冬張り)はレインフライよりも温かい!気のせいか?(笑)
朝起きると曇天の様相でパラパラと粉雪が舞っています。幻想的と言えば幻想的ですがシュラフから出れない「雪山あるある」に陥り、7時出発予定が何と10時!登山開始時刻としては本当に遅いですが、さすがゆるふわな雪山山行。
2日目のコースですが初心者にとっては結構ハードで不安になる個所もあるので、その辺りを中心に記事を書いていきますね♪
後は「ワカン」の歩行性とシュラフ「タケモ スリーピングバッグ9」のレビューです。
目次
双子池テント場~双子池ヒュッテ
平日からの山行でしたので昨日も誰も他に双子池にはテント泊者は無し状態で朝を迎えましたが、冒頭の通り何と起床が朝の7時!出発は10時という体たらく(笑)。
のんびり雪山山行なので、まぁこんな登山もありかと気楽に考えていました。そんなこんなで出発してまずは目の前にある双子池を縦断します!池の周りをぐるっとトレースがありますが、当然双子池ヒュッテに向かって一直線のほうが距離は短くなるので、雪山で池が凍結しているからこその特権ですね♪
がしかし、誰も歩いていない双子池の氷上には50cm前後は積雪があります、予想はしていたので「ワカン」を装着して進みます。この後のルートも誰も歩いていない状況が雨池までは続くと予想していましたが、その通りでラッセルにはなりませんがワカンがないと(アイゼンのみ)かなり歩きずらかったです。
10分もかからず「双子池ヒュッテ」に到着です、この日はお休みですので人の気配はありません。驚いたのはきれいな屋外トイレが設置してありました。
使用料は200円!なんと汲み取り方式なのでかなりの処理コストがかかっているのでしょう!無断利用は「罰金」と書いてありましたので、今後の山小屋存続も含めて気持ち良くお支払いしましょう!このトイレは公衆便所ではないですよとの注意書きがあるので守りましょう♪
次に目指すは雨池に向かいます。双子池ヒュッテの裏側に登山道があるので進みます!
双子池ヒュッテ~雨池コース入口
地図とGPSを確認しながら進みます。積雪が少ないのでたまーに出てくる道標もしっかり確認ができるので初心者でも大丈夫なルートです。
ほぼ登山道というよりは本来林道だと思うので、道幅もあり不安感は無いと思います。ただし土曜の午前中ですしトレースはウサギさんの足跡のみでした(笑)
このコースで2箇所程注意しなければいけない分岐点があるのですが、一つ目はこの写真の場所です。この分岐(大石川林道)は写真前方に進むと実は雨池をショートカットして雨池峠方面へ抜けられるのですが、現在は通行止めになっています。無雪期も含めて崩落等により規制されているみたいです。写真の通り緑のガムテープが貼ってあり侵入禁止のようです。(後々雨池を過ぎた後にもその合流点がありますが雨池側からも侵入できないルートです)
もう一つは雨池の登山口までの間に、ショートカットできる激下りの登山道もあるのですがこちらはもちろんノートレースですし、おそらくアイゼンだけでは踏み抜き地獄に陥りそうな気配ですので、大した距離ではないので林道をそのままトレースするほうが楽ちんです。
雨池の登山口を目指しますが、目標物は「カラ川橋」になります。橋が近くなってくると沢の水音がするのですぐにわかると思います。橋の終わりの山側に道標が出ていますが、積雪が多い場合はその道標は埋まりそうなので橋を渡りきったら山側に入ると思っておいてください。
雨池コース入口~雨池
雨池へのこのコースはいきなりの急登になります。日帰り仕様ならさほどなのですが22kgのテント泊装備だとかなりやられます(笑)。アイゼンのみかワカンかどちらを選択するか悩む雪道です、この日はちょいちょいワカン有利な場面が多くこの時点ではまだワカンを装着しています。
急登が終わると樹林帯の中をアップダウンを繰り返し雨池を目指します。特段難しい場所はありませんが、トレースの確認は地図とGPSとピンクテープで確認しながら進んでください。
お決まりの目の前が開けたらそこが雨池です♪雨池まで誰一人と合いませんが、ここまでくると日帰り組がちらほらいますので安心できるかと思います。
ただし対岸にある雨池峠への分岐を目指すのですが結構積雪があるのでワカンは必須ですね!もちろん池の淵の樹林帯の中に登山道はあると思いますが、ショートカットあるのみです存分に雪山歩きを堪能してくださいね♪
雨池~雨池峠分岐
雨池から少々上りがありますがすぐに終わり、林道に出ます。雨池から林道にでるトレースは複数ついていますが、どこを通っても多分林道にでるの心配ありません。メインのルートは写真の道標があるところに出ると思います。
次は雨池峠の分岐入口を目指します、林道を進んでいくと行き止まりの案内が出てきます。この分岐を山側に登っていきます!やはり双子池ヒュッテから雨池への登山口を目指すと時に出てきた雨池を経由しないルート(大石川林道)は崩落で通行止めになっていたみたいです。
雨池を経由しないで双子池ヒュッテから雨池峠入口までのルート(大石川林道)は現在通行止めのようなので注意して下さい!
そうそう雨池からは、スノーシューの方は別としワカンはいりませんアイゼンのほうが歩きやすいのでワカンは外してOKです。さすがに登山者が多くなりトレースはハッキリしていますし踏み固められていますよ。
雨池峠分岐~縞枯山荘
実は今回のルートで一番やられた上りがこのエリア!テント泊装備でのこの上りが進んでは停まってを繰り返しました!さほど距離があるわけではないのですが如何せん疲れました。
この上りを終わりきると、「縞枯山登山道入口」と「縞枯山荘」がる広いエリアに到着です。
2日間でようやく樹氷?霧氷?らしき景色が見れたのが印象的でしたね♪
もうここまでくると2日間の北横岳周回コースも終了目前です!
縞枯山荘~ロープウエイ山頂駅
縞枯山荘を出るとロープウエイ乗り場までは15分程です、このルートは坪庭にはいかず坪庭の下側を登りも下りもなく水平移動でロープウエイ乗り場に到着します!
もし最後に坪庭に行きたい場合は途中に坪庭に上がる分岐があるのでそこを登ります。
というこでロープウエイ山頂駅に到着です。これで駐車場まで戻れば終了です!
そうそうロープウエイ乗り場の建物に入るスロープは凍ってることがあってすんごい危険なので注意してくださいね!
ワカンの歩行性
ワカンの出番がなく2シーズンがすぎてしまい、ようやく今回の雪山山行でワカンのありがたみを理解できました(笑)。スノーシューと比べれば浮力では劣ると思いますが、トレースに踏み跡のない登山道・誰も歩いていない氷上の積雪エリアを存分に歩きました。
嫁が先にワカンを外していたので、その差もはっきりと分かりました。
また今回は雨池を過ぎるまではワカンが必須になるだろうと予想していたのですが、仮に雨池到着を前にしてアイゼンの選択になった場合にアイゼンへの変更が面倒だったので最初から「ワカン+アイゼン」の装着を前提に記事を書いています。
【双子池走破(積雪量50cm)】
山爺:ワカン+アイゼン
嫁 :ワカン+アイゼン
両者ともに20cmくらいの埋もれで済んでます。ワカンがやはり優勢ですね、テント設営場所は雪の下が土の部分でしたが一歩池側にツボ足で立ち入ると50cmは軽く埋まりますので、池の縦断時もそれと同じかそれ以上の深さのあったところもありましたので。
【ノートレース林道(積雪量30cm)】
山爺:ワカン+アイゼン
嫁 :ワカン+アイゼン
ツボ足やアイゼンのみでも歩けますが、ワカン装着のほうがより歩きやすかったですね。林道には動物の足跡しかありませんでしたが、ワカン装着による浮力はより歩きやすさに繋がりました。
【雨池走破(積雪量50cm)】
山爺:ワカン+アイゼン
嫁 :アイゼン
雨池の縦断時は嫁はアイゼンのみ山爺は変わらずワカン+アイゼンのままで走破してみました。結論は双子池縦断時と同様に20cm位の沈み込みで済んでいてワカン装着が楽ですね。嫁はというと山爺のトレースをなぞって歩いていますが、それでも足が潜り難儀する個所も散見してました。もちろんノートレース上を歩行してます。
結論として、積雪量でワカンの装着の有無が変わるのは当たりまえなのですが、雪山登山においては「ワカン」は必須アイテムだと思いました。明らかに降雪がなく踏み固められた登山道であれば必要はないかもしれませんが、雪山山行にてノートレースの個所がある場合は必ず必要になると思っていたほうが良いかと改めて思いました。
シュラフ「タケモ スリーピングバッグ9」の実力
シュラフと言えば「ナンガ」「イスカ」「モンベル」あたりが一般的には認知されているメーカーだと思いますが、2シーズンくらい前にWEB上で【タケモ】という新興シュラフブランドを目にしたのがきっかけで注目し購入検討に入った経緯があります。
そもそも厳冬期においてテント泊を想定した場合、外気温で最大マイナス20℃前後テント内でもマイナスの温度が想定されます。現在我が家にあるシュラフは450FPで限界温度がマイナス10℃といったところでしょうか!この性能ではどんなに全身(上下)ダウンを着込んでも、場合によっては寒くて寝られない場合も・・・。
そこでメジャーなシュラフメーカーとこの「タケモ」の厳冬期用シュラフの比較に入りました。圧倒的な違いは「コスト」になります!
ちなみに「タケモ」は元イスカの方が独立し立ち上げたシュラフブランドになります。詳しくはHPへどうぞ♪コンセプトは「性能」「コスパ」を追求したシュラフですね!(なのでイスカのシュラフカバーがぴったり合いますw)
【厳冬期対応シュラフ】
・ナンガ:UDD BAG 810DX・UDD BAG 1000DX
・イスカ:エア630EX・エア810EX
・モンベル:ダウンハガー800 #0・ダウンハガー800 #1
・タケモ:スリーピングバッグ9・スリーピングバッグ11
上記が一般的には厳冬期及び冬期に使うシュラフのメジャーでしょうか?下記は「価格」と「対応温度」の比較です。各メーカーの使用温度が統一ではないのですがおおよそ厳冬期に使う最上級と普通モデルの違いです。
・UDD BAG 810DX:¥58.000 -7~-13℃
・UDD BAG 1000DX:¥70.000 -9~-16℃
※温度はヨーロピアン・ノームの表記
・エア630EX:¥48.000 -15℃(最低使用温度)
・エア810EX:¥58.000 -25℃(最低使用温度)
・ダウンハガー800 #1:¥45.000 -3~-9℃(リミット温度)
・ダウンハガー800 #0:¥54.000 -7~-14℃(リミット温度)
・スリーピングバッグ 9:¥38.000 -25℃(最低使用温度)
・スリーピングバッグ11:¥43.000 -30℃(最低使用温度)
※金額は税抜きになっています。使用限界温度は個人差があるので一概にメーカー表記が自身に合っているかは別問題です。
御覧の通り「タケモ」がお安いのが分かると思います。もちろんダウン量の違いがあるので一概に比較はできないのですが、決してメジャーメーカーに劣る性能ではないです!。
特出したシュラフ構造の違いは「足先・足元」のダウン量です!嫁が足元が寒くないと言っていましたから間違いないと思います。寒がりで足先が冷えやすい嫁が今回は検体になっているのでw前日の夜の温度はマイナス12℃前後でした、テント内の実験用水入りプラティパスは完全に凍っているのでマイナスでした。
ちなみにタケモ スリーピングバッグ9にはイスカのシュラフカバーを重ねて使用しています(結露と水滴対策)。厳冬期用シュラフになるのでイスカのゴアテックスシュラフカバー ウルトラライト ワイドを使用。
タケモシュラフにご興味のある方はタケモ公式ページへどうぞ。
まとめ
雪山登山でテント泊といっても山小屋併設のテント場を使うのか、本当に目的地のためにテント場以外でワイルドに設営するのか、今回のように双子池ヒュッテからは離れていてトイレ以外はワイルド感満載で設営するのか、色々な雪山テント泊があると思います。
今回割愛していますが、飲み水はもちろん雪を溶かしてろ過していますし、北横岳山頂以降の双子池までのコースで他の登山者とも一切会いませんし、2日目の雨池までも一切登山者には会いません。
初心者にとってというコンセプトで書いているこのBlogですが、全くテント泊もしたことが無い、雪山登山は数えるほどしかない方には、少々「雪山登山」における経験値が必要になってきます。
「地図読み(GPSも含)」「踏み抜き」「道迷い」「雪上テント泊(管理テント場以外)」「体力」といったキーワードが欠けていると、一層難しく感じるコースになってしまう恐れがあります。
決して雪山登山の部類の中では難しいことはなく、どちらかといえばとても簡単なコース設定です。上記のキーワードが揃っていれば非常に楽しく「雪山登山」と「雪山テント泊」ができます♪
ワイルド感のある「雪山登山テント泊」にチャレンジするにはもってこいのルートですので、今期雪山登山のステップアップにどうですか?
くれぐれも準備と知識は怠らずにという点は重ねて言っておきます!
ではでは。