7~8年近くも登山をしてくれば、登山ギアのメンテナンスも毎回のようにしなくては登山ギアのもちが悪くなりますよね。
とりわけ『登山靴』には、気を掛けておかないと山行中にとんでもない事態に陥ります!中でも山爺が遭遇した中で一番は、登山靴のソールが剥がれてしまうという光景を目の当たりにした時です。
その方は、山小屋に偶然あったボンドで接着をしてピンチを脱しました。それも北穂高岳を登って下山し、涸沢小屋泊まりの方だったのですが、北穂高山荘(北穂高の頂上にある山小屋)で休憩中に隣同士でお話をした方だったのです。
これって、北穂高から下山中にソールが全部剥がれてたら。。。おぉ~怖!
ですので、我が家では毎回登山から帰ってきたら、登山靴のメンテナンスを行います。特に嫁の登山靴はワックス加工のヌバックレザーなのでメンテナンスが必須です。山爺の場合は化繊(ゴアテックス素材)が半分以上を占めているので、嫁程ではありませんがスエードレザーもメンテナンスが必要です。
今回の記事は、ワックス加工済のヌバックレザーとスエードレザーの登山靴のメンテナンスのご紹介です。(あくまでも自己流なのでご了承ください)
目次
準備する物
まずはメンテナンスに必要な道具や洗浄液・ワックス等が必要になります。山爺と嫁では使うものが若干違いますが、基本的には以下の物があれば大丈夫です。
①ブラシ(ソールや側面ラバーを洗う)←何でもいいですが固目がいいかな
②スポンジ(皮表面の洗い用)
③馬毛ブラシ(ほこり取り・乾燥後のブラッシング兼用)
④豚毛ブラシ(乾燥後のブラッシング用)
⑤洗浄フォーム(泡のタイプ)
⑥栄養ローション(皮の栄養保湿と防水兼用+着色)
⑦防水スプレー(万能型)
※ワックス加工登山靴の場合
⑧ワックス(チューブに入った防水用ワックス)
⑨レザージェル(栄養と防水兼用)
⑩栄養ローション(皮の栄養保湿と防水兼用+着色)防水スプレー
⑪馬毛ブラシ×2(ワックス用と磨き用)
こうやって書き出してみると案外メンテナンスに必要な物がありますね。登山靴の皮の構成(オールレザー・ヌバック・スエード・化学繊維のみ等)によって様々なので、準備するものは注意して購入してください。
スエードレザー(ワックス加工無)の場合
山爺が使っているスエードレザー登山靴でワックス加工をしていない場合になります。①~⑦までを準備します、③④を二つ準備するのが面倒な場合は固めの豚毛ブラシか馬毛ブラシ1つでも賄えます。
⑤の洗浄フォームは山爺の場合は泡状になるものを使っています。スエードの場合でも多種ありますが、我が家ではCollonil社(コロニル社)の製品で統一しています。少々お高いですが、定評のある靴メンテナンス製品です。
⑥は皮に栄養と保湿を与えつつ色抜け防止や着色を施し、防水機能を高めるローションです。皮って放置しておくとカピカピになってひび割れやら、色抜けがすごいことになります。山爺はLA SPORTIVA TRANGO ALP スポルティバ トランゴ・アルプの時はこのローションをあまり使っていなかったので、現在は色が黄色からクリーム色へと変化してしまいました(笑)。ですので、結構重要なアイテムです。これもCollonil社(コロニル社)です。
⑦は登山靴のメンテナンスの最後に吹きかる一番強い防水スプレーになります。これもピンからキリまであると思いますが、Collonil社(コロニル社)を使っています。実は数年たつとCollonil社(コロニル社)の製品が廃盤から新製品へと変化していくので、同じ成分・効能なのですが、商品名が変わるので対応してください(笑)。
上記の①~⑦まであれば十分といっていいぐらいのメンテナンスができるので、コスト的には一気に揃えると痛いですが長い目でみて登山靴の寿命を延ばすことを考えれば安いものだと理解していください(笑)。
ヌバックレザー/オールレザー(ワックス加工有)の場合
うちの嫁の登山靴はHANWAGハンワグ:アラスカですが、こちらは元々ヌバックレザーでワックス加工はされていないものになりますが、購入後ワックス加工を施して防水性を高めています。ですので、上記のヌバックレザーとは全くメンテナンス方法が違います。
⑧はワックスそのものになります。ヌバックレザーに直接塗り込んでワックスの層を作り防水機能を高めることが役目です。このワックスもCollonil社(コロニル社)です。
⑨⑩は用途は栄養と保湿・防水機能なのですが、⑨はジェル状⑩はローションになります。⑩には着色料が入っているので補色の意味もあります。
⑪は確実にワックス塗付用と磨き用の2つが必要になってきます。実際は素手でワックスを塗り込みますが、ワックスの伸ばしと磨き用に分けておかないといつまでたってもべとべとの登山靴になってしまいます。
登山靴の洗浄
ようやく準備するものが揃ったら実際のメンテナンスに入りますが、当然登山から帰ってきてから一番最初にするのは『洗浄』になります。これはヌバックもスエードも共通です。
ほこり取り
登山靴から靴ひもを外して、ブラッシングによるほこり取りをします。靴ひもを外して『ベロ部分』『皮表面』『靴ひも通しの裏』とか細かいところまでブラッシングでほこりをとります。結構なほこりがたまっているのでしっかりと!
ソール洗浄
ほこり取りが終わったら、ソール(靴底)とサイドラバーの洗浄をします。水を掛けながらブラシでこすれば泥汚れは落ちるので問題ないと思います。ソール(靴底)のソールパターンの溝に入っている泥は確実に落としてください。ブラシでだめなら歯ブラシも使って!
土や泥に入っている微生物がソールの成分であるゴムの劣化につながるそうなので、念入りに洗浄したほうがいいですよ♪
表面洗浄
続いて、表面の洗浄ですがそこまで汚れがひどくない場合は洗浄フォームを布に塗布しふき取ります。汚れがひどい時は、登山靴の表面(皮部分やベロの部分)に洗浄フォームを付けて、柔らかめのブラシで洗います。この洗浄は汚れのひどい時に行っているので、手順として飛ばす時もあります。
ヌバックレザーワックス加工の靴の場合は濡らしたスポンジで表面を洗い上げていきます、優しく泥汚れやほこりも一緒に洗います。同時に登山靴の表面も濡れて水分がしみ込むようになりますが、気にしないでOKです。この後の行程で濡れていることが重要になりますので。
洗浄終了
これで洗浄は終了ですが、スエードレザーの場合はここから乾燥させてもいいですし、濡れたままでもOKです。ヌバックレザーワックス加工の靴の場合は濡れていないと駄目です!それぞれこの後のメンテナンスへの行程が変わってきます。
メンテナンス(防水・ワックス・栄養補給等)
ここから本当のメンテナンスに入ります。
スエードの場合は『皮の栄養補給と保湿・着色』から『防水加工』の2工程。
ヌバックレザーワックス加工の場合は『皮の栄養補給』『皮の栄養補給と着色』から『ワックス加工』『防水加工』の4行程を行います。
皮への栄養補給
一番過酷な状態にさらされる皮へ栄養を浸み込ませます。ローションをポンポンと叩くように付け皮の全部に浸透させます(乾いた状態と濡れた状態で施工する両方があるそうです)。この際に使うローションですが実は着色も兼ねますが、着色料の入っていないものと着色料の入ったものがあるので注意が必要。
山爺の場合は以下のように使い分けをします。
カラーレスローション→靴色グリーン(バイスホルン/チェベダーレ)
レッドローション→靴色レッド(マウンテンエキスパート)
実はCollonil社(コロニル社)のこのローションには各色あるのですが、どのくらいの濃さの着色料が入っているか分からずグリーンのローションは購入してません。どうも深緑のような気がするので、我が家のLowaの靴のグリーンは明るめなグリーンなのでちょっと使えないかなって感じ!ですので、無色透明を使います。着色が気になる方は、無色透明でいいと思います。
逆にレッドは靴そのものが深いレッドなので気にせず使ってます。ややマウンテンエキスパートの色が抜け始めていたので、かえって着色が入っていい感じに色が復活しました(^^)。
ローションが塗り終わったら乾燥させましょう。
ヌバックレザーワックス加工の靴は洗浄後の濡れた状態で、皮全面に刷り込みます。嫁のアラスカの場合は茶色の着色料の入ったローションを塗りますので、傷や色が剥げたところに塗ると茶色に戻ります。
ブラッシング
洗浄・ローションが終わり乾燥した状態で防水加工前にブラッシングを薦めます。特にスエードレザーの場合は毛が寝てしまっているので、ブラッシングをすることで買った時のような若干毛羽立った状態にできます。つるっとした状態が好きな場合はその限りではないですが。
ヌバックレザーワックス加工の場合は、そのメンテナンス行程後は常にブラッシングです。基本は皮全体に万遍なくメンテナンス材をいきわたらせるという意味もあるので怠らずに!
防水加工
スエードの場合は上記の乾燥が終わったら、防水スプレーを万遍なく吹きかけてここで終了です。現在はどんな素材にも使用できるCollonil社(コロニル社)のこの製品を使っています。
ヌバックレザーワックス加工済の場合
ヌバックレザーは上記の2工程にもう2工程追加があります。上記の順番に沿うと以下のようになります。
①皮が濡れた状態で靴全体にレザージェルを塗りブラッシング
②①が終了したらローションを靴全体に浸透させ軽くブラッシング
③濡れている状態のままワックスを指で靴全体に塗り込みブラッシング
④乾燥後磨きのブラッシング(艶出し)をして防水スプレーをかける
結構面倒ではありますがこれを、帰宅後毎回行えばソールの張替はあるものの10年は使える登山靴になります。ちなみに嫁は毎回これを行っているので、登山に出掛ける時は漆黒(濃茶)のピカピカの状態です。
細部のチェック
ここで登山靴の細部のチェックを行っておきます。登山に出発してからでは手遅れになるケースもあるし、補修をしておけばリスク回避にもあるので、よーくチェックしておいてください。
ソールの状態
ソールは一番重要な部分です。チェックする箇所としては以下の通り。
①ソールは減っていないか?
②ソールそのものが剥がれそうではないか?
ソールのブロックパターンが丸まっていたら交換時期ですね、写真を掲載しておくので下記のような状態はNGです。これは既にソールの限界を超えてる悪い例でです(笑)。
次に冒頭でも書きましたが、ソールそのものが剥がれていないかのチェックをしてください。ソールを張り付けている接着剤も劣化により剥がれてきますので、重要なチェック項目です。
ラバーの剥がれ(トゥ/サイド)
登山中にトゥーやサイドのラバーは岩等に擦れる事が多々あります。ですので、傷のチェックや剥がれていないかを見ます。補修は案外簡単で、皮とゴム用途の接着剤を塗って貼ればOKです。
実際に山爺もLA SPORTIVA TRANGO ALP スポルティバ トランゴ・アルプはトゥー部分のラバーは補修しています。
皮の損傷
悲しい事に、表面の皮に損傷があった場合はどうするのでしょうか?山爺は今までに表面の皮の損傷はないですが、紳士靴の場合だとパテ埋めのような溶剤が売っているので、その溶剤で埋めて着色するという方法がありますが、登山靴の場合はどうなんでしょう?
登山靴(嫁のハンワグ:アラスカ)の場合少しくらいのひっかき傷程度であれば、ワックスで埋め込んでしまっています。少々の程度なら上記のメンテナンス行程でも傷等は消えてしまっているのが現状です。皮がめくれるような傷の場合はちょっとお手上げですね、専門店にご相談を!
靴ひもの状態
靴ひもも案外、メンテナンスフリーのごとく無視または忘れているアイテムですね。山爺はスポルティバ トランゴ・アルプの靴ひもが自宅で登山準備中にブチ切れてたことがあります(笑)。これって登山中だったら顔が青ざめますよね!まぁ細引をザックに入れているので対応はできますが。
それから登山靴のメーカーによっては、登山用品店に自分が履いている登山靴そのものの靴ひもが置いていないことが結構多いので、予備として早めに買っておいた方が無難ですよ!
インナー(靴の中)の状態
靴の中そのものは、構造上どうにもできませんが擦れによるゴアテックスの剥がれや、インソールのへたり等を確認です。インソールはある意味自分の足型に合っているので、よっぽどでなければ交換することはないかなと個人的には思います。
もし、ゴアテックス等の内張りに擦れによる穴や痛みがある場合は専門店にご相談してください。
まとめ
登山靴に限らず、登山ギアのメンテナンスはとても重要で、万が一の場合は自分の命を守ってくれるアイテムですので。しっかりメンテナンスはしたほうが良いですよ(^^)/
登山ウエアのメンテナンスも防水性の復活やザックのほころびとギアに関しては枚挙にいとまがありません。アイゼンなんかはヤスリで削ってさび止めオイル塗ってと鍛冶屋なみのメンテナンスが必要になります。
何かあってからでは遅いので日頃からメンテナンスは面倒で大変ですが、必ずやったほうがいいです♪登山ギアに対する愛着も湧きますしね♪
メンテナンスには少々コストが掛かりますが、1年でも長くそのギアの寿命が延びると思えば安いものです。皆様もご自分の愛着のあるギアを守る為にしっかりメンテナンスしていきましょう!!
ではでは